たまたま秋葉原近辺に行く機会があったついでだったので、事前に店舗をネットで調べることが出来ませんでした。はじめにメイド喫茶らしい看板を見つけたら入ることにしました。
まず１軒目、駅の近辺だけど、比較的静かでこじんまりとしたところにありました。雑居ビルでもともと飲食店が入るなんて想定してない感じの建物です。きつい傾斜の階段を上がって、３階の店舗に入りました。
「お帰りなさいませ。ご主人様」とお馴染みのフレーズです。
最初に受けた印象は、ウェイトレスがメイドの格好をしてるだけで、他はごく普通の喫茶店と変わりないということでした。店内は物理的にも雰囲気的にも明るくなっています。いわゆる水商売の店舗にある様な「独特な陰影」を微塵にも感じることはまったくありません（風俗営業の許可が要るかどうかと、「独特な陰影」があるかどうかとは法律上は関係がないのですが）。
ご主人様、お嬢様は大富豪や貴族と言う暗黙の想定があるのですから、店内の内装はゴージャスなものではないかと予想していました。しかしながら全然違っていて、違うどころかむしろ一般の飲食店よりも内装に金がかかっていません（初期投資が比較的かからないと言うことであり、撤退も比較的容易）。わかりやすく例えると、高校で文化祭をやるときに模造紙や折り紙工作で飾り付けた教室みたいな感じです。もちろんちゃんとした飲食物がでます。
この店内はカウンター席になっていて、従業員はカウンターの反対側から、客に飲食物を給仕する様になっています。厨房は別の階にあるようで、持ってくるのが少々面倒そうです。
実際に行ってみるまで少々値段が高いのかと思っていましたが、メニューは内容も値段も一般の食堂や喫茶店と変わらないです。
ドリンクは500円〜1,000円位で時間帯によってはソフトドリンクだけでなく、アルコールドリンクも頼めます。フードは700円〜1,000円位で、スパゲティー、カレーライス、チャーハン、ケーキ、サンドウィッチなど、ごく普通のものです。
このメイド喫茶では、一人の客が1オーダーで60分間店に居られることになっていて、長く居たい場合は1時間ごとに何かを注文しなければならないことになっています。
ただし、
「店の混雑時は、ご主人様に60分でお出かけ願うことがあります。」
となるそうです。一般の喫茶店ではコーヒー一杯で何時間も粘られたりするので、その点では回転率や客単価の向上が見込めます。
腹は減っていないので、500円のホットコーヒーしか注文しませんでした。メイドさんがコーヒーを持ってきて、目の前で客の好みの量のミルクを入れてかき混ぜてくれます。ここら辺のところががメイドを雇う程リッチなご主人様の気分になるのか。メイド喫茶に限らず、高級な喫茶店ならやってくれるところもありますね。
意図的に自主規制しているのか、そうでないのか不明ですが、メイドさんの方からは進んで会話をすることはなく、普通の喫茶店の様な注文に関係ある応対しかしない様です（当方が常連の客だったら別かも知れませんが）。しかし、客の方から世間話をしてくれば適度に応じてくれます。
私の後から来たサラリーマン風のお客さんもメイド喫茶に初めて来たらしく。
「秋葉原の近くに寄ったら話の種に来て見ようと思ったんだぁ」とメイドさんに話していていました。（註5）
（註5） 私見ですが、私が目撃経験した限りでは（あくまでもこの日のこの店で）、風適法上の「接待」にはあたらないと思います。下記の解釈運用基準を参照。
「３ （１）談笑・お酌等
特定少数等の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為は接待にあたる。
これに対して、お酌をしたり水割りを作るが速やかにその場を立ち去る行為、客の後方で待機し、又はカウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけの行為及びこれらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わしたり、若干の世間話をしたりする程度の行為は接待に当たらない。」
引用 風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について
警察庁生活安全局長 平成14年1月22日
私は、40分位ここで過したところで店から出ることにしました。
「ちょっとお出かけしてきますんで……」
「いってらっしゃいませご主人様！」
ちなみに店の中は一切撮影禁止と掲示されています。この店に限らず、すべてのメイド喫茶でそうです。この店にはありませんでしたが、有料でメイドさんと一緒に写真撮影をするサービスをする店もあります。
（つづく）
近藤巧器行政書士事務所 埼玉県朝霞市
平成18年5月14日公開
注意 この文章には私的見解を含み、行政機関のそれとは異なる場合があります。また個別のケースによって事情が異なります。この文章を参考にした行動の結果は保証出来ませんので、自己責任でお願いいたします。
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