当事務所の業務とはあまり関係ない話題です。自動車運転免許の話であるから、行政書士と関係がなくもないのですが……。
小型特殊自動車とは、特殊自動車(註1)で、車体の大きさが、長さ4.70m、幅1.70m、高さ2.00m以下(註2)に該当するもののうち、時速15qを超える速度を出すことができない構造のものです(道路交通法施行規則第2条)。具体的な例では農耕用のトラクターや耕運機がほとんどです。なおこの制限を越える特殊自動車は大型特殊自動車となります。
自動車運転免許にはいくつかの区分がありますが、「小型特殊自動車」はその区分の中で最も馴染みが薄い免許です。どうしてかと言えば、原付以外の区分の免許を取得すれば、おまけで小型特殊自動車免許も運転することが可能なため、改めて取得する必要がないためです。制度的にも上位免許を取れば下位の免許は取れません。実際のところ、農耕用トラクターや耕運機自体も農業に関係がなければ馴染みが薄いですし、農業関係者で小型特殊車両を乗る人であっても、普通免許、大型特殊免許を取っているのがほとんどでしょう。
平成16年度の全運転免許保有者数(註3)は 78,246,948人。そのうち小型特殊自動車免許は161,105人です。なお一番多い種類の第一種普通自動車免許で68,317,200人です(ただし2種類以上の免許保有の場合は最上位免許のみをカウント)。改めて調べてみると16万人強も「小特」保有者がいるとは驚きですが、比率でみれば全保有者の0.2%ほどに過ぎません。また保有者の年齢構成のグラフを見ると分かるのですが、
現在では高齢になられている方に集中しています(ただしここでも先に小型特殊免許を取った後に、上位免許をとった場合は保有者にカウントしていないことに注意)。現在ほどモータリゼーションが進んでいなかった時代に、小型の農耕用トラクター、耕運機だけを運転すれば十分だというニーズがあったからでしょうか。なお小型特殊の免許区分が創設されたのは昭和39年です。
と言うわけで現在、小型特殊自動車免許を取る人は超少数です。
(つづく)
近藤巧器行政書士事務所 埼玉県朝霞市
平成18年1月20日公開
註1 カタピラを有する自動車(内閣総理大臣が指定するものを除く。)、ロード・ローラ、タイヤ・ローラ、ロード・スタビライザ、タイヤ・ドーザ、グレーダ、スクレーパ、ショベル・ローダ、ダンパ、モータ・スイーパ、フォーク・リフト、ホイール・クレーン、ストラドル・キャリヤ、アスファルト・フィニッシャ、ホイール・ハンマ、ホイール・ブレーカ、フォーク・ローダ、農耕作業用自動車、ロータリ除雪車、ターレット式構内運搬車、自動車の車台が屈折して操向する構造の自動車及び内閣総理大臣が指定する特殊な構造を有する自動車のこと(だそうです)。
註2 高さの規定は例外として、ヘッドガード、安全キャブ、安全フレームその他これらに類する装置が備えられている場合は、当該装置を除いた部分の高さが2.00m以下のものには、2.80m以下となっております。従来は高さ2mを超えると、大型特殊自動車の扱いをうけて大型特殊免許が必要でしたが、トラクターが転倒して運転者が下敷きになる事故を防止するため平成16年に改正になりました。
註3 平成16年度『運転免許統計』(警察庁交通局運転免許課)
注意 この文章には私的見解を含み、行政機関のそれとは異なる場合があります。また個別のケースによって事情が異なります。この文章を参考にした行動の結果は保証出来ませんので、自己責任でお願いいたします。
小型特殊自動車免許を取ろう その2
小型特殊自動車免許を取ろう その3
小型特殊自動車免許を取ろう その4(完)