不当要求防止責任者とは、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第14条に基づいて、企業、団体、商店などの事業者から選任する不当要求を防止のための責任者のことです。選任は義務ではなく任意ですが、出来るだけ選任するようにと警察が奨励しています。当事務所も一応事業者なので(ホームページのネタにも成ることだし)、選任届けを出して責任者講習を受けてみました。
講習があったのは北浦和駅から歩いて10分ほどの埼玉県浦和地方庁舎の講堂で、講習時間は2時間30分ほどでした。この日、行ったときの受講者は50人ほどで、大半の受講者はスーツ姿(他に作業着姿の方も少々)でした。責任者として会社でいえば総務部長、総務課長、商店でいえば店長、支配人の様な役職の人が想定されているので、やっぱりそんな感じの人が集まっていましたね。
講習は埼玉県公安委員会の委託をうけた財団法人埼玉県暴力追放・薬物乱用防止センターが行います。交通安全協会同様、警察関係の外郭団体で、元警察官が多く勤めています。
講師の方が2人いました。一人は職員で現在警察から出向中、もう一人はこの財団の理事で、警察署長経験者だそうです。話のはじめの自己紹介で、
「私は元警察官です。警察を辞めたといっても、決して悪いことをして辞めたわけじゃないですよ」
と話されていました。毎回「つかみを取る」ために言っているのでしょうね。
講習で配布されたテキスト類
「不当要求防止責任者選任済之証」のステッカーも交付される。
講習の本題に入ると、埼玉県の内外で起きた暴力団関係の事件の話、不当要求防止責任者の役割、全国、埼玉県内指定暴力団の動向(具体的な団体名や活動拠点など)の話を聞きました。中でも特に、昔の様にいかにも暴力団って感じの人は減って、外見上は普通の企業や社会運動団体を標榜して一般市民に近づいてくると言う話が印象に残りました。また従来の覚せい剤の密売や賭博の様な典型的な犯罪から、不法残留外国人犯罪、少年犯罪、振り込め詐欺の様な犯罪の関与にシフトしている傾向にあるそうで、その方が暴力団の名が表に出にくいためやり易いのだとか……。
(つづく)
近藤巧器行政書士事務所 埼玉県朝霞市
平成18年1月31日公開
注意 この文章には私的見解を含み、行政機関のそれとは異なる場合があります。また個別のケースによって事情が異なります。この文章を参考にした行動の結果は保証出来ませんので、自己責任でお願いいたします。