平成19年6月2日より、道路交通法の一部改正施行され、自動車運転免許の区分が変更されます。中型自動車免許が新たに創設されます(註1)。
改正前の区分
区分 | 受験資格 | 車両総重量 | 最大積載量 | 乗車定員 |
普通 | 18歳以上 | 8トン未満 | 5トン未満 | 10人以下 |
大型 | 20歳以上 (かつ経験2年以上) | 8トン以上 | 5トン以上 |
11人以上 |
大型 (特大) | 21歳以上 (かつ経験3年以上) (註2)
| 11トン以上 | 6.5トン以上 | 30人以上 |
改正後の区分
区分 | 受験資格 | 車両総重量 | 最大積載量 | 乗車定員 |
普通 | 18歳以上 | 5トン未満 | 3トン未満 | 10人以下 |
中型 | 20歳以上 (かつ経験2年以上) | 5トン以上 11トン未満
| 3トン以上 6.5トン未満
| 11人以上 29人未満
|
大型 | 21歳以上 (かつ経験3年以上)
| 11トン以上 | 6.5トン以上 | 30人以上 |
改正前の普通自動車免許で運転できる最大積載量、車両総重量の大きなことに驚きます。教習や試験で使う車両は普通乗用車であるにも関わらず、かなり大きな車両でも運転できてしまうのです。
近年、車両の軽量化が進んで、同じ総重量のトラックならば大きなサイズになっていたり、外見からでは、大型車ではないかと思ってしまうほど、大きいものもあります。
それらを「普通免許」で運転するのは技能が伴わず無理がありました。
と言うことで、普通免許の区分で運転できる範囲を縮小し、新たに中型自動車免許の区分を創設することになった様です。
改正以前に、普通免許を持っている人から、既得権を取り上げる訳には行かないので、改正後は中型自動車免許(8トン限定)を取得しているとみなし、改正後も同様に運転ができます
(註3)。
改正前の普通免許の所持者は、次回の免許更新の際は、免許証に「中型」の文字が入り、さらに条件欄に
「中型車は中型車(8t)に限る」と記載されます。
平成19年6月2日に改正法施行ですから、その前後で取得免許の範囲が異なることになりますので注意が必要です。改正前の免許が欲しい場合は6月1日(金)までに、試験に受かる(筆記試験及び技能試験が免除の場合は免許申請する)必要があります。6月2日は土曜日なので、改正後の制度に基づく免許の交付は実質4日からスタートになります。
ほとんどの方は、公認自動車教習所で教習を受けて、技能試験に合格して、卒業証明書(卒業から1年間有効)を添付して免許申請すると思います。
改正前に取得した卒業証明書は改正後も有効ですが、改正前の「普通自動車の卒業証明書」で改正後に申請すると、取得できる免許は改正後の「普通免許」となります。
同様に、改正前の「大型自動車の卒業証明書」で改正後に申請すると、取得できる免許は改正後の「中型免許」となります。
ですので、大き目の自動車を運転したい場合は、6月1日までに免許センターへ行きましょう。積載量3トン未満で十分、いやむしろ大きい車を運転させられないで済むからと言う理由で改正後に申請することも考えられます
(註4)。
改正前の普通免許は、そのまま改正後は中型(8トン限定)とみなされますが、限定解除試験を受けて合格すれば、中型の限定なしになります。ただし、中型限定では、経過措置により視力検査が従来と同様ですが、限定のない中型免許の場合は通常の視力検査の他に、深視力検査があり基準が高くなります(大型自動車の基準と同様)。
ですから、中型限定を解除したあと免許更新の際深視力検査の基準に引っかかる場合は、中型免許そのものを返上する必要がでてきて、かえって運転可能な範囲が狭くなる(すなわち、中型8トン限定には戻れず、改正後の普通免許の範囲となる)可能性が出てきます。限定を解除するなら、その点を考慮に入れないといけません
(註5)。
(おわり)
近藤巧器行政書士事務所 埼玉県朝霞市
平成19年5月25日公開
註1 参考 埼玉県警HP
註2 改正前の大型の区分の中で、特に大きな車両は、運転経歴3年以上でないと、大型免許があっても運転できません。
註3 自動二輪免許の区分がなかった時代に自動車免許を取得した人は、免許証に「大自二」の区分の記載があって、大型自動二輪の運転が出来ます。あくまでも法律上可能であって、全ての人が技能的に可能かどうかとは別な話ですが、改正前の既得権を奪うことをしないのが行政の原則です。
註4 他にも、免許マニアの人で、フルビッター免許にしたい人は改正後に普通免許を取得するか、改正前取得なら限定中型免許を返上して、改めて中型免許を取得するとかが考えられます。小型特殊自動車免許をとろう その4(完)参照。
註5 社団法人全日本トラック協会「中型運転免許スタート ここが知りたいQ&A」
注意 この文章には私的見解を含み、行政機関のそれとは異なる場合があります。また個別のケースによって事情が異なります。この文章を参考にした行動の結果は保証出来ませんので、自己責任でお願いいたします。